朝日新聞5月3日
リングプル集め車いす贈る運動
静岡の団体、休止を機に江別の店主ら引き継ぐ
全国から、アルミ缶のリングプルを集めて車いすを贈ろうと、江別市の野幌商店街の若手経営者でつくる「リングプル再生ネットワーク」(プルネット)が、このほど運動を始めた。これまで十年間、静岡県の団体が同様の運動をしていたが、代表が病に倒れ、二月に活動を停止した。このため、今回、プルネットが、その運動を引き継ぐ形で、全国へのネットワークづくりをすることになった。
全国ネットづくり
プルネットのメンバーは約二十人。代表は衣料店経営者の高橋俊夫さん(四三)。
「リングプルをどこに送れば、車いすをもらえるの」という子供たちの何げない質問がきっかけで、夢をかなえてあげようと、五年前に江別で「愛のリングプル実行委員会」を結成した。地元を中心にリングプルを集め、お金に換金して、江別社会福祉協議会などに、これまで九台の車いすを贈ってきた。
ところが、全国ネットワークの中心となっていた静岡の団体の活動が中止になったことから、各方面から、江別の実行委員会に問い合わせが殺到した。何とか、自分たちの手で全国規模の運動が展開できないか、検討を続けた。
その結果、リングプルの回収や、保管場所の提供などで、大手運送会社・佐川急便(本社・京都市)が協力してくれることになった。
プルネットに登録した団体や個人に、佐川急便が専用袋やリングプルを入れるコンテナボックスを届ける。そして三十キロになると回収に来る。全国各地で集まったリングプルは、佐川急便の北海道支社(札幌)倉庫に運ばれ、随時、金属買い取り業者に販売し、車いすの購入の資金とする。
運動は先月二十日から始まり、すでに学校や病院、個人など九十団体・個人がネットワークに登録している。リングプルの蓄積が、車いす一台分にあたる七百五十キロになると、プルネットが換金し、車いすを一台購入して、その団体に届ける仕組みになっている。
高橋代表は「一個『〇.五グラム』の小さなリングプルが、多くの人たちの愛の手で、車いすに姿を変えます。ぜひ、協力してください」と呼びかけている。
プルネット事務局は江別市野幌町55−5(電話011−391−5686、FAX011−391−5691)へ。問い合わせは、平日の午前十一時より午後五時まで。
朝日新聞北海道版 2000年(平成12年)5月3日 水曜日 40999号